【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「こう言う事だ」
「へっ?」
突然、私の目の前に黒い影が落ちた。
そして…
「「「「ギャァァァァァ…」」」」
これ、私の叫び声ではありません。
鏡夜、時政先輩、双子会計の声だ---
…って、冷静にしている場合ではない。
目の前で唇を合わせているこの男をどうにかしないと!
「……んッ…、んんんッ!」
腕を突っぱねて蓮から離れようとしたけれど、蓮の方が力が強いから全く離れてくれない。
ちょっと?
皆の前で何するのよッ!
焦りながらもがいていると、スッと蓮が素直に離れてくれた。
やっと離れた…と、ほっとしながら顔を見上げたら、良牙が蓮の襟首を引っ張ってくれていた。