【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
「ありがと、良牙」
「何だよ良牙。お前、ヤキモチ焼いてんのか?」
「誰がヤキモチだ。アホッ!自分の兄弟が目の前でキスしてとこ見るなんて、気持ちが悪りぃんだよッ」
睨む良牙と踏ん反り返って口端を上げる蓮とを交互に見ていると、どこからか声を掛けられた。
「…兄弟ってどういうことですか?」
恐る恐ると言った感じで聞いてくる時政先輩に、私はさも当たり前とでも言うように話す。
「私と良牙って兄弟らしいです。私も今日、知ったんですけど」
「「「「えーーーーーッ?!」」」」
う、うるさい---
四人分の絶叫が生徒会室内に響き、私の眉間にシワが寄る。
ただ一人、章吾だけは目を見開き驚いているだけで声は出さなかった。