【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
十四章 あれから4ヵ月後
「お待たせ、蓮」
「あぁ…」
駅の壁に寄りかかり、スマホをいじっている蓮の目の前で立ち止まり声を掛ける。
私を見るなり顔を緩め、ポケットにスマホを入れている蓮に微笑みかけた。
あれから4ヵ月という月日が流れた今もまだ、私と蓮は付き合っている。
蓮の私への思いは薄れるどころか今だ愛情は溢れんばかり。
日々、蓮の優しさに私は溺れる毎日だ。
そんな私達は休日である今日、久々に学園を出て街へと繰り出しデートをする約束を前々からしていた。
いつもならば学園から一緒に町へ来るのだが、今日に限って昨日から蓮の経営している会社でトラブルがあったとかで徹夜で会社に篭りっきり。
ようやく昼過ぎになって会社は落ち着きを取り戻し、こうして駅前で待ち合わせをしたのだ。