【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~
前髪を切った次の日から驚く程、周りの皆の態度がコロッと変わってしまったのだ。
一番驚いたのが、何故か私に親衛隊と言うものが出来てしまった事。
親衛隊…、それは本当にウザイだけの集団なのだ。
私を守るとか言ってその集団達は、私の傍を片時も離れることがないのだから。
おかげで私は自由に学園内を行動する事が出来なくて、何とも窮屈な思いをしている。
ありがたいんだか、ありがたくないんだか---
「どうした?」
「…ううん」
いけない。
蓮と一緒にいるのに無意識の内に溜息を吐いてしまった事に気づき見上げると、心配そうに私を見ていた。
申し訳ない事に、心配させてしまったようだ。
そんな蓮にニッコリと笑顔を向けた。
…次の瞬間、私は驚きに目を見開く。