【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~


「待ってッ!」



恢の背を追いかけるように一歩足を踏み出そうとしたその時、私の肩を掴む者に阻まれそして抱き止められる。




「ごめん…、私」


「何も言うな」


「………ッ」



口を開くその前に、蓮によって塞がれた。



温かいその唇はすぐに私から離れ、そして蓮の鋭い瞳が私を射抜く。


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