【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
「舞衣いいっ……うわぁぁぁんっ
……っくっ……」
肩に大きなしずくを感じながらあたしは背中をさすり続けた。
圭は今、彼女が居てとっても仲がいい。
誰も入る隙のないカップル。
未唯はとっても辛い片想いの扉を
開けてしまったんだ……
「舞衣、ありがとう…」
「未唯、無理に笑わないでいいの!
泣きたいときに泣けばいいの!
我慢してると、未唯の体もたないよ?」
あたしがそう声をかけると
「ありがとう」と言いながら
また一筋の涙を流して微笑んだ。
作り笑いではなく本物の笑顔だった。