【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
本当だったの………?
嫌な予感が的中した瞬間だった。
「桐谷さん?」
なんだか聞いたことのある声に
名前を呼ばれた。
座ったまま相手の方を向いた。
……
「あ。」
学校祭で蒼君の事探してあたしに話しかけてきた人だ……
「あ、学祭以来だね?
あ、俺、新谷直(しんやなお)って言います。」
「あ、えっと……ごめん……」
あたしは涙を雑に拭いて立ち上がった。
「桐谷さん泣いたの……?」
「何でもないの……気にしないで!!じゃあ」
あたしは立ち去ろうとした。
その時……