【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
“笑ってて”とか
なんて勝手なお願いなんだろう…
今の俺は舞衣に
何をしてあげられるだろう……
俺は家に居るはずの姉貴に電話をかけるために、公衆電話までゆっくりだけど、歩いた。
「蒼くん……?どうしたの?」
近くを通りかかった看護師に
声をかけられた。
「あ、姉貴に電話かけようと思って……」
「待ってて、車いす持ってくるか……」
「いいです!俺、まだ歩けるから。」
看護師の言葉を遮って言った。
「蒼くん……無理はしないで……」
「はい。」
看護師は少し心配そうな顔をしてきた道を引き返していった。