【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
最後辺りはもう涙で視界がゆがんで読めなかった。
ポタポタとこぼれる涙で、手紙の文字が滲む。
「蒼、喜んでくれてるといいな……」
「そうだな。」
手紙を封筒に戻して、カバンに入れた。
「あ、手紙で思い出したけど、8年前蒼にもらった手紙開けてないや……」
「開けろよ。」
「当時は開けられなかったんだって!!」
「まぁ、そうか……って、寝てるよ。」
そう言って後ろを親指で指したコウくん。
凛ちゃんと杏は眠っていた。