【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
レターセットを机に用意し座っていると。
「何やってんだ??舞衣。」
コウくんが部屋に入って来た。
「コウくん!!あのね?蒼に手紙書こうと思って……」
「え……?」
「届かないかもしれない。でも、あたしの事最期まで愛してくれたから……」
そう話すとコウくんはあたしを抱きしめた。
「書きな。思ってること全部。桜井にきっと届く。」
コウくんのその言葉があまりにも優しくて涙が止まらなかった。
「ううっ……コウくん……ごめっ……ん……」
「……」
あたしが謝ってもコウくんは何も言わずあたしのそばに居てくれた。
大きな手と腕であたしの体を包みながら……