【完】イチョウ~あたしは幸せでした~
「付き合ったんだ?」
……
え?
なんで…知ってる…の…。
「ご、ごめ…」
「謝らないで。ちゃんと友達に戻るから…」
コウくん……
コウくんは片方の手で顔を隠して
“友達に戻るから”と言った。
なんて声をかけていいか分からなかった。
『ごめん』
『もう友達だよ。』
色々考えたけど、
全部が全部あたしの言い訳にしか聞こえなくて。
ただただコウくんの前に立ち尽くすしかなかった。
「どうして…知ってるの…?」
「見るつもりはなかったんだけど、
キスしてるの…見ちゃって」
コウくんはすごく切なそうに
あたしに話した。