恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~

「こんな綺麗な方が、お見合いを必要とするはずがない」

カメラのレンズを丁寧に拭きながら、彼はそう言った。
慶次郎さんに褒められた。
胸が高鳴る。
“綺麗な方”と言ってくれた。

この顔に生んでくれた母に感謝しなきゃ。

写真館は、独特の香りが漂っていた。
日本的な匂いで、お香やお寺やそういう部類の匂い。

「時間かかりますけど大丈夫ですか?」

丁寧な、ゆっくりとした落ち着いた話し方が、心地良い。

最近、こんな話し方をする男性に出会ったことがない。

「撮りますよ」

慶次郎さんの表情が変わった。
穏やかだった表情が急に、凛々しくなり、目つきも変わった。

彼が着物の袖をまくりあげる。



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