恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「野嶋にしつこく迫られているのか?」
大北さんは満足気な表情でそう言って、私の肩に手を回してきた。
「いいえ。そんなんじゃないです。写真をお願いしていたので、その件で電話をくれただけだと思います」
冷静にそう言った後、私は電話を持ってトイレへ駆け込んだ。
誤解されたくない。
慶次郎を傷付けたくない。
何度電話をかけても、慶次郎は出てくれなかった。
お母さん、ごめんなさい。
やっぱり、大北さんに抱かれることはできない。
こんなにも愛する人がいるから。
解約されないように、精一杯努力する。
でも、私の心は誰のものでもないから。
好きでもない人と夜を共にすることはできない。