恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
私は、大北さんに丁寧に頭を下げて何度も謝った。
「ごめんなさい。今日は失礼させてもらいます」
酔っ払っているせいか、ニヤけたままだった大北さん。
怒鳴られることはなかった。
「契約、解約していいの?」
こんな交換条件を出してくる時点で、この人終わってる。
最低だと思う。
「私は、誠意を示したつもりです。それで、保険を解約されるのならそれは仕方がないと思います。でも、母と私は別の人間です。私への怒りを母に向けるのはどうかと思うんですけど。私は、大北さんのこと信じてますんで」
やけくそだった。
もうどうにでもなれ、という気持ちで一気にそう言って、勢い良く店を出た。
何度も何度も慶次郎に電話をかけながら家に帰る。
かけてもかけても出てくれない。
慶次郎のバカ。
充電切れちゃったじゃん。