恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「本当はお見合いなんて嫌だった。でも、お母さんの為だと思って頑張ってた。結婚も、いつからか焦るようになって。それは、自分の気持ちじゃなかった」
言いたくても言えなかった想い。
全部は言えないけれど、少し吐き出せた。
「あのね、真智、本当にごめんなさい。私は間違っていた。あなたには今まで無理なお願いばかりしていた。その時、真智は文句も言わず私のお願いを聞いてくれた。それなのに、大北さんにまた会ってなんて言ってしまって。反省しなきゃいけないのはお母さんよ」
母は私の手を握ったまま、離さなかった。
仕事をしている母だが、家の用事もしっかりとこなす良い母だった。
水仕事で荒れている母の手を私も握り返した。