恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「大北さんと何もなくて良かった。まさかそんなことをする人だなんて」
母は、大きなため息をついて、天井を見上げた。
「大北さんと結婚して欲しかったんじゃないの?」
「まさか。今はそんなこと思っていないわよ。保険の契約を解約されたくなかったら一晩一緒にいろ、みたいなそんな男最低よ。もう、別に解約されても構わない」
私は、母の本来の姿を見失っていたのかもしれない。
色眼鏡で母を見ていた。
母は、私のことをいつも一番に考えていてくれたし、私を犠牲にしてまで仕事で成功したいなんて思うわけがないのに。