恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「どうしたの?」
肩を押しつけてきたのは、山野君だった。
「俺のこと、丈治って呼んでよ」
山野丈治【ヤマノジョウジ】
「俺の銀行ね・・・・・・」
彼は銀行員だった。
母の笑顔が浮かぶ。
“銀行員か公務員と結婚しなさい”とよく言われていた。
条件的に、丈治君はぴったりだった。
でも、心は全く動かない。
「真智さん、俺の好みだな」
「またまた、口がうまいんだから~」
「いや、本当本当。美人なのに、ツンとしてなくて、ちょっと天然で。絶対彼氏いるでしょ?」
いつものコンパとは違う。
慶次郎がいる。
慶次郎とモニカが気になって、丈治君の声が耳に届かない。
「聞いてる?」
また肩をくっつける。
と、その時、慶次郎と目が合った。
慶次郎もまた、モニカとくっついていて。
すぐに目をそらす。