恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「綺麗に撮れましたよ」
満足気な表情で慶次郎さんはカメラをそっとテーブルに置いた。
「ありがとうございます」
ペコリと頭を下げると、慶次郎さんも同じように頭を下げた。
「仕上がりを楽しみにしておいてくださいね」
にっこりと笑ったときにできる口元のしわが、何とも言えず素敵だった。
推定年齢、三十五歳。
指輪はしていないけれど、きっと既婚者。
「じゃあ、また来ます!」
これ以上、慶次郎さんと一緒の時間を過ごしちゃいけないような気がして、店を出ようとした。
「ご連絡先だけ書いてもらえます? 出来上がったらお電話しますので」
呼び止めるその声に、変な期待をしてしまう。
馬鹿だよね、私。
少しばかりイケメンなカメラマンだからって、何ドキドキしてんの?
これくらいの男、そこらへんにいるじゃん。