恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
秋の海
―秋の海―
まだアルコールが抜けていないような気分の悪さ。
昨日のコンパは悪夢のようだった。
午後4時。
夕方になると、涼しさが増していた。
駅まで迎えに来てくれたのは、丈治君。
「乗ってよ」
白い薄手のセーターを着た丈治君は、また爽やかで好青年だった。
昨日は強引にごめんね、とかわいく謝る彼に、同情にも似た気持ちが生まれていた。
昨夜は、電話がなかった。
モニカとどうにかなってしまったんじゃないかと不安で眠れなかった。
「慶さんとは海で待ち合わせしてるから」
丈治君の言葉を聞いて、ガッカリしている私がいた。
一緒に車に乗って海へ向かうと思っていた。
メンバーは詳しく聞いていなかったが、丈治君の知り合いの女の子も誘ったと言っていた。
海までの1時間、私の心はすっかり慶次郎のことばかりで、丈治君の声が届いていなかった。