恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
私は、クーラーの風で揺れる慶次郎の髪を見つめていた。
綺麗な黒髪。
「慶次郎さんに何度も電話かけているうちに充電が切れてしまって。本当だよ!信じて」
「信じます。でも、何かあったと思うよ、普通は」
信号で停まった時、左手を伸ばして私の頭をコツンと叩く。
ドキドキして、体中の血液が顔に集まっているようだった。
「ごめんなさい。でも、何かあってもおかしくない状況だった。私が悪かったの。大北さんはそのつもりだったかもしれない。でも、私は好きでもない人と、そんなことできない」
「あの人はそういう人だから。僕の心配した通りだ。でも、何もなくて良かった。キスとかしてないよな?」
ちょっと口調が変わった。
それがまたかっこよくて。