恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
それから数日間、私はいろんな飲み会に参加し、慶次郎を忘れようとした。
が、私をドキドキさせてくれる出会いは全くない。
そりゃそうだ。
運命の出会いなんて、人生でそう何度もない。
あんなにドキドキする出会いを経験してしまったんだもん。
すぐに誰かとまた出会うなんてありえない。
そこで、私は過去の男に救いを求めてしまう。
私の悪い癖だ。
過去の男の連絡先を消せない私は、高校時代の彼氏にメールを送ってしまった。
彼は、連絡をすればいつも優しく相手をしてくれるが、ちゃんと彼女がいる。
お互いに、それ以上の関係になることはないと確信している。
友達ぶってはいるけれど、そこに小さな愛があるってこともお互いにわかっている微妙な関係。
「どうしたんだよ。失恋でもしたか?」
仕事終わりにさびれた居酒屋で待ち合わせ。
「ちょっとねぇ」
思わせぶりな返事をする私に、彼はいつものように優しく笑う。
「相変わらずだな」
この言葉が好きだった。
私の全てをわかってくれているような安心感。
彼とやり直せるのなら、やり直したいと思ってしまうのは、彼のこの大きな優しさのせい。
だけど、やり直すことはありえないんだよね。
やり直すタイミングは今までも何度かあったけど、そうならなかったのは、運命の相手じゃないから。