恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
薄紫の浴衣。
大きな背中を見つめる。
店から出て歩いていく背中をじっと見つめていると、涙が溢れた。
幸せの涙。
と同時に、好きになりすぎてしまった不安の涙。
手に入ると不安になる。
失いたくない。
失ったらどうなるんだろう。
押し寄せる不安。
信じているのに、不思議。
どうか、いつまでも失わずにいられますように。
いつまでも、隣にいられますように。
目を閉じて祈る。
慶次郎のアイスコーヒーのグラスの中の氷が、コロンと音を立てた。
“大丈夫だよ”
慶次郎の声が聞こえた気がした。