恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「実はね、お付き合いしている人がいるの。私、本気でその人のこと大事に思ってるから、もうお見合いできない。ごめんね」
お母さんは目を丸くした。
私の目の大きさはお母さんに似た。
日本人離れした大きな目で、私を見つめる。
「そう、そうなの?」
嬉しさと不安が入り混じったような複雑な表情をしていた。
「心配させちゃうかもしれない。お母さんを満足させられる相手ではないかもしれない。でも、本当に私のことを大切にしてくれるし、私も大切に思ってる」
少し頷きながらお母さんは私の話を聞いていた。
でも、やっぱり言われた。
「でもね、真智。恋愛と結婚は別なのよ」
はい、出た。
母の名言。
「わかってます」
静かにそう答えた後、私は大きく息を吸い込んだ。
「でも、信じて。お母さん」
そっと目を閉じて、慶次郎の顔を思い浮かべた。
大丈夫。
彼なら大丈夫。
お母さんも、認めてくれるはず。