恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
予約の電話を入れた。
『はい、野嶋写真館です』
いつもより少し高い声で電話に出る慶次郎。
「遺影にも使えるような写真を撮りたいのですが」
私がそう言うと、しばらく沈黙が続き
『真智だろ』
と低い声で言った。
名乗らずに店に電話をしたにも関わらず、私だとわかってくれた。
「どうしてわかったの?」
『わかるよ。妙に緊張した声で電話してくるから一瞬わからなかったけど』
「実はね、お母さんがお葬式用の写真でも撮っておこうかなって言い出して。慶次郎に撮って欲しいの」