恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「おはようございます!!」
濃いグレーの着物に深緑の帯。
肩にかかる髪を今日はひとつに結っていた。
今日も素敵な慶次郎。
「初めまして。野嶋慶次郎と言います。本日はよろしくお願いします」
深々と頭を下げた慶次郎は、サッと名詞を母に渡す。
「初めまして。真智の母です。1度お会いしたいと思っていたの。写真家さんなんて大変でしょう。自分のお店を持つなんてすごいわねぇ」
さすが、社内ナンバー1の営業成績を保っているだけあって、母は誰とでもすぐに打ち解けられる。
「いえいえ。小さい店なんで」
慶次郎は謙遜してそう言ったが、母の表情が少し硬くなったのを私は見逃さなかった。
母は、結婚相手としてふさわしいかどうかチェックしている。
目力がすごい。