恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「真智さんに似てらっしゃいますね。目の辺りなんて特に」
慶次郎はカメラを準備しながら、母と話している。
私は少し離れた椅子に腰掛けて、ふたりの様子をドキドキしながら見守ることにした。
「そうかしら。真智は昔からかわいいかわいいってみんなに言われていてねぇ。その割にイイ男を捕まえられないで今まで独身なのよ。うふふふふ」
うふふふふ、じゃないよ。
私の彼氏である慶次郎にそんなこと言うなんて。
慶次郎がイイ男じゃないって言ってるようにも聞こえる。
「ありがたいです。真智さんが独身でいてくれたことに感謝します。見た目だけじゃなく、中身もとても美しい娘さんだと思います」
そう言われて、相当嬉しかったのか、母の表情が柔らかくなった。
いいぞ、いいぞ。
この調子。
と思ったのもつかの間。
「野嶋さんは、どうして結婚していないんですか?」
とストレートな質問をぶつけた。