恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「僕は、結婚には向いていないと自分では思っていまして。会社を辞めて、夢のために苦労する道を選ぶような男、なかなか結婚したいと思ってはくれないですし」
だめだめ、慶次郎。
謙遜とかいらないから!!
もっと自信満々に自分の能力を語ってよ!!
“だめだめ~!!”
と、
目で訴えてみるけど、慶次郎はニッコリと微笑んでくれるだけだった。
あぁ、これは不合格になってしまうかもしれない。
「それでは、撮影始めますね。緊張しないで、リラックスしてください」
パシャ
パシャ
パシャ
響き渡るシャッター音。
真剣な表情の慶次郎に、うっとりしながらも、母の評価が気になって仕方がない。
慶次郎は、レンズ越しに母を見つめた後、レンズから目を離し、言った。
「また20年後くらいに撮りに来て下さい。遺影の写真を撮るには早いです」
「あはははは。そうよねぇ」
と母は大笑いした。