恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「あのパスタのお店にしようか」
私は、仕事帰りに何度か行ったことのあるイタリアンのお店に向かった。
「写真、楽しみだわぁ~」
明るい声で母が言うので、私の不安が少し消えた。
「そうだね~!綺麗に撮れてるといいね!でも、お葬式に使うなんて嫌だからね。まだまだ長生きしてよ」
私もテンションを上げて話す。
「当たり前でしょ~!孫の顔も見ずに死ねないわよ」
チクン。
胸が痛む。
「だよね~」
明るく返す。
ピチチチチチチ
鳥の鳴き声と、川のせせらぎが心地良い。
このうわべだけの会話の不快感を消してくれる。