恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「あはは。そうかもね~」
と軽く返した後に、一度深呼吸をした。
「そんなことないと思う。彼は、真面目に仕事をしているし、安定しているし、お母さんが思っているような不安なことはないよ」
と頑張って言い返した。
コーヒーの中にミルクを入れる。
ゆっくり混ぜる。
「真面目かもしれない。でも、あの人は結婚には向いていない。ひとりで夢を追いかける人よ。あなたのことがいつか邪魔になる」
母の言葉には説得力がある。
何も言い返せない自分が歯がゆい。
でも、私もどこかで感じていたこと。
慶次郎は夢を追っている人。
私は彼の夢を邪魔しちゃいけないと、漠然と感じていた。