恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
新しい男
-新しい男-
夢を見る。
毎晩。
慶次郎の夢。
初めて出会った場面の夢、再会して抱きしめられる夢、呼んでも呼んでも声が届かない夢。
好き、だよ。
こんなにも好きだよ。
朝の通勤ラッシュの中で、泣いてしまうくらいに好きだよ。
抱きしめられたあの感覚は今もハッキリ覚えてる。
耳元で囁いてくれたあの甘い声も。
優しいキスも、
力強い腕も、
繊細な指も、
全部・・・・・・大好きだよ。
でもね、慶次郎の優しさがわかるから。
私は身を引くべきなんだ。
毎晩夢を見て、毎日考えて、やっぱりその結論に至る。
別れを切り出した慶次郎は、私のことを誰よりも考えてくれたんだ。
母を幸せにしたいと願う私の気持ちを、誰よりもわかってくれた。
いつか別れるなら早い方がいい。
慶次郎の選択は正しいのかもしれない。
このまま、どんどん慶次郎にのめりこんでも、いつか別れが来るのなら・・・・・・
今別れた方がいいんだ。