恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
私は、次に頼んだ酎ハイを飲んだ。
川北さんは生ビールを注文して、グイグイ飲んでも、顔色が変わらなかった。
「榎本さんは・・・・・・」
川北さんは、そう言うと一呼吸置いて、私を見つめた。
「好きな人がいる。当たりでしょ?」
妙に真剣な顔をするな、と思っていると、そんな質問をされてしまった。
見つめられると、思い出してしまう。
慶次郎の顔を。
「誰かの為に料理をしている。俺にはそう見えるよ」
モニカの予想が当たっているなら、川北さんは遊び人なだけあって女性の気持ちがよくわかる。
「そんな風に見える?」
「時々、とても切ない顔をする。必死で頑張ってる姿見てると、榎本さんはきっと誰かの為に料理の勉強したいんだろうな、と。ずっと思ってた」