恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「俺も、彼女を忘れてはいない。榎本さんも彼氏を忘れていない。でも、こうして飲みに来た。ここから、何かが変わるかもしれない。お互いに」
手を伸ばして、私の手の甲に触れた。
「手は出さない。約束する」
そう言って、ゆっくり私の手を握った。
ドキドキしていた。
この気持ちが何なのか、まだわからない。
でも、嬉しくないわけではなかった。
慶次郎に会いに行こうと思った気持ちは、消えていた。
帰り道、ずっと考えていた。
このまま、川北さんを好きになれたら、私は幸せになれるんだろうか。
このまま、慶次郎に会わずにいたら、いつか忘れられるのだろうか。
答えなんて出るはずもなく、頭の中で、ふたりの顔が交互に現れては消えて・・・・・・
どうすればいいんだろう。
私はどうしたい?
ねぇ、慶次郎。
いいの?
私じゃなくてもいいの?
あなたは幸せになれるの?