恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
母とは、普通に話せるようになった。
一度だけ聞かれた。
「野嶋さんとどうなってるの?」と。
私は答えた。
「もう別の人と付き合うと思うから」
慶次郎に出会って、変わったはずだった。
でも、私自身変わっていなかった。
臆病で、流されやすく、自分がない。
「クリスマスは、川北さんと会うの?」
朝食の時、母に聞かれた。
「多分、そうかな。あ、イブだと思うけど」
「どこで会うの?」
「どこでもいいでしょ?」
「教えてくれてもいいでしょ~」
女同士のこういう会話が少し楽しかった。
だから、これでいいんだって思うんだよね。
私、間違ってないよね?
「ご飯食べて、駅ビルのイルミネーションでも見に行く感じかな」
「へ~!仕事終わってすぐに行くの?」
「わかんないけどね」
今まで、慶次郎とのデートのことは、母に言えなかった。
でも、川北さんとのデートはこうして話せる。
なんなんだろう。
この違い。