恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
私も店を出た。
野嶋写真館へ向かった。
会えるわけはない。
慶次郎はモニカと会うんだから、店にはいないよね。
でも、足が止まらなかった。
会いたくて、
会いたくて、
会いたくて。
どうしようもなく会いたくて。
ずっとずっと会いたかった。
それなのに、自分を誤魔化して。
川北さんに逃げていた。
本当の自分の気持ちに気付かないフリをして。
黒いコート姿の男性がたくさん歩いていた。
私はオフホワイトのコートのポケットに手を入れて、駅からの道を歩いた。
好き。
その想いが一気に溢れ出した。