恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
電気が消えた。
ドキドキして、手が震えた。
カタン
扉が開いた。
街灯に照らされた入口。
グレーの着物を着た慶次郎が出てきた。
夜空を見上げて、寒そうに肩をすぼめた。
そして、黒いロングコートを羽織る。
鍵を閉める。
自分の手に息をかけ、手をポケットに入れた。
そして、ゆっくりと歩き出す。
会えたね。
慶次郎。
会いたかった。
ずっと、会いたかった。
実はね、毎日のように夢を見ていたよ。
あなたの夢ばかりだった。
他の人を好きになろうとしたけど、やっぱり無理だった。
忘れられるわけ、ないんだよ。
慶次郎。
こんなにも愛しているんだもん。