恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
瞬きを忘れるほど、じっと慶次郎を見つめていた。
少しずつ離れる私達。
声をかけることはできない。
私はまだ何も変わっていない。
聞こえないくらい小さな声で囁いてみる。
「慶次郎」
その時、大音量で走り去るバイクの音に驚いた慶次郎が、ふと振り向いた。
20メートル以上離れていると思う。
気付くはずもない。
また歩き出す慶次郎。
私も、少し離れて歩き出した。
ストーカーじゃん、これ。
腕時計を見た慶次郎。
モニカとの約束の時間を気にしているのかな。
タクシーを捜しているのか、キョロキョロとし始めた。
また振り向いた慶次郎。
嘘でしょ?
目が合った?
気付いた?