恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
夜空を見上げるように、フ~っと息を吐く慶次郎。
気のせいか。
気付くわけないよね。
私は、慶次郎を見つめたまま、動くこともできなかった。
え?
もう一度、
目が合った。
「真智!!」
「慶次郎!!」
慶次郎が走って、私の向かいの歩道へと来てくれた。
車道を走る車。
私達の間には、何台もの車が走っていた。
道路越しの会話。
「慶次郎!!元気?」
「元気ですよ!!真智は元気ですか?」
私は両手で大きな丸を作った。
これがドラマなら、ふたりは駆け寄って抱き合ってキスをするのかもしれない。
でも、私達は車道を挟んだこの距離を保ったままだった。