恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~





「お疲れ~っす。そのコートかわいいじゃん」




待ち合わせ場所に現れた川北圭吾。


今夜はクリスマスイブ。




「あ、ありがとう」




私は、赤いコートのポケットに手を入れて、ペコっと頭を下げた。







「残業なくて良かったよ~!さ、今日は楽しいイヴにしような」




爽やか過ぎる川北さんに、涙が出そうになる。




顔も良い。


性格も良い。


安定した仕事をしている。





完璧な条件なのに、私は好きになれなかった。





だってね。



人は、条件で人を好きになるものじゃない。



それは、痛いくらいわかってるんだ。





< 271 / 331 >

この作品をシェア

pagetop