恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「お疲れ~っす。そのコートかわいいじゃん」
待ち合わせ場所に現れた川北圭吾。
今夜はクリスマスイブ。
「あ、ありがとう」
私は、赤いコートのポケットに手を入れて、ペコっと頭を下げた。
「残業なくて良かったよ~!さ、今日は楽しいイヴにしような」
爽やか過ぎる川北さんに、涙が出そうになる。
顔も良い。
性格も良い。
安定した仕事をしている。
完璧な条件なのに、私は好きになれなかった。
だってね。
人は、条件で人を好きになるものじゃない。
それは、痛いくらいわかってるんだ。