恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~




「観覧車、あとで乗る?」



イタリアンレストランへ向かうエレベーターは、ガラス張りで、綺麗な夜景が見えた。




その景色の真ん中に七色に光る観覧車。





乗りたいと思った。


慶次郎と乗りたいと。


思ってしまった。






「なんだか、怖そうだな~」



と誤魔化す。





川北さんが予約しておいてくれた店は、テレビや雑誌でも見かける有名レストランだった。






「じゃ、乾杯!」




薄いピンク色のネクタイと、私のピンクのセーターの色がよく似ていた。




どこから見ても、ラブラブなふたりだ。





「美味しい~!」



ボルドーワイン。




「このカルパッチョがうまいって、先輩に聞いたんだよ」



前菜のサーモンのカルパッチョ。


とても美味しい。



ワインも、カルパッチョも、その後の鴨のロースも、ぺペロンチーノも・・・・・・



とても美味しい。




美味しいけれど、あの人を思い出す。




ぺペロンチーノが好きだと言った慶次郎。





初めて会ったあの日だったよね。


そんな話をしたっけ。



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