恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~




「真智の幸せだけが、お母さんの願いなんだよ」



「慶次郎・・・・・・」



「料理教室で出会った彼のこともお母さんから聞いた。お母さんは、言ってくれたんだよ。
“真智が好きなら奪って来なさい”ってね。それができたら、僕は合格なんだって。だから、もう僕は合格したんだよ」





だから、川北さんとのデートの場所を何度も聞いてきたんだ。



お母さん、そんな気の利いたことをしていたなんて。






「イブにデートなんて、僕は悲しかった。でも、真智がまだ僕を愛してくれているってわかっていたから」




「ごめんなさい。今日、断るつもりだった。もうこれ以上無理して一緒にいるのはやめようって。その話もちゃんとしたんだよ」




「そうか。じゃあ、もう僕達に何の壁もないってことだな」






雪が慶次郎の髪の上に乗っていた。





綺麗。



天使みたい。


素敵な天使。








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