恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
慶次郎SIDE
僕の大切なひと
―僕の大切なひと―
目覚まし時計の音とほぼ同時に目が覚める。
グレーの遮光カーテンを開けると、小鳥のさえずりが聞こえる。
電子ケトルでお湯を沸かし、朝一番の日本茶を飲む。
長年使っていたやかんへのこだわりはもうない。
時代は移り行くものなのだ。
便利なもののおかげで、時間を有効活用できる。
仕事着でもある着物に袖を通し、髪を整える。
そして、僕の大切な場所、野嶋写真館へと向かう。
お香の煙で、僕達の大切なカメラ達が目を覚ます。