恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
慶次郎SIDE

僕の大切なひと






―僕の大切なひと―






目覚まし時計の音とほぼ同時に目が覚める。



グレーの遮光カーテンを開けると、小鳥のさえずりが聞こえる。



電子ケトルでお湯を沸かし、朝一番の日本茶を飲む。




長年使っていたやかんへのこだわりはもうない。




時代は移り行くものなのだ。


便利なもののおかげで、時間を有効活用できる。




仕事着でもある着物に袖を通し、髪を整える。





そして、僕の大切な場所、野嶋写真館へと向かう。



お香の煙で、僕達の大切なカメラ達が目を覚ます。









< 305 / 331 >

この作品をシェア

pagetop