恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
その夜、僕はお母さんから聞いた料理教室のある場所へと向かった。
ちゃんと話がしたかった。
それよりも何よりも、会いたかった。
真智に会いたい。
ただそれだけだ。
料理教室か。
そうか。
僕のために料理の勉強をしているんだな、真智。
とそんな余裕なことを考えていられたのは一瞬だった。
僕の目に映ったのは、
ドラマに出てくるような、お似合いのふたりだった。
背の高い若々しい爽やかな男性に寄り添うように歩く美しい人。
照れた笑顔がとてもかわいくて、かわいすぎて、涙が出そうだ。
僕は、会えなかった。
ただ、“見た”だけだ。
愛する人が、別の誰かと楽しそうにしている場面を、ただ見ただけだった。