恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
その時、電話が鳴った。
真智ではないかと、一瞬緊張するが、そんなはずはない。
真智はこんな時間に起きていない。
画面に出たのは“モニカさん”という文字だった。
「もしもし」
もう顔も思い出せなくなっていた。
真智と僕を結び合わせてくれた人なのに。
『もしもし~!慶次郎?』
ハイテンションな声。
「飲んでるんですか?」
そう尋ねた後に、もしかして真智と飲んでいるのかと期待している僕がいた。
目の前のマグカップから湯気が真っ直ぐ伸びていた。
僕の息でその湯気が揺れる。