恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
それから数日後、少し早めに仕事を終えた僕に、天使が舞い降りたんだ。
夢かと思った。
幻だと本気で思った。
写真館の向かいの道路。
真智が
立っていた。
僕の負けだ。
僕から会いに行こうと思ったのに、先に会いに来てくれた。
勇気を出したのは、真智の方だった。
「慶次郎、元気?」
太い道路を挟んで、僕達は言葉を投げ合った。
「真智は、元気?」
こんな大きな声を出すのは、学生時代の応援団長をした時以来だろう。
求め合っていた。
僕と真智は。
でも、この距離から近付いてはいけない気がした。
抱きしめたいのに、抱きしめちゃいけない。
そんな気がして。