恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
でも、その時、思い出したんだ。
料理教室から出てきた真智の顔を。
僕は走っていた。
自分で自分がコントロールできなかった。
僕は、冷え切った真智の体を思いっきり抱きしめていた。
この感触。
この匂い。
この人を求めていた。
「真智」
「慶次郎」
もう少し、待っていてください。
必ず、迎えに行きます。
もう少し、時間をください。
そう心の中で唱えながら、真智を抱きしめた。