恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「今日はね、いいこと教えてあげる」
コーヒーにポトポトと静かにミルクを落としながら、お母さんは言った。
視線をコーヒーに向けたまま、ニヤリと笑った。
「何ですか?」
僕は、真智のことを考えた。
真智が僕のことを何か言っていたのかな、と期待したりして。
「あのね」
随分、焦らすんだな、お母さん。
僕は、気持ちを落ち着ける為にコーヒーをグイっと飲んだ。
熱いコーヒーが胃に到達するのがわかる。
「クリスマスイブに、料理教室の彼とデートするみたいよ」
僕が待っていたような“いいこと”ではなかったようだ。
「え、そうなんですか。付き合ってるわけじゃないんですよね」
「でも、その日に何かあるかもしれないわね」
「クリスマスに会うなんて・・・・・・心配すぎます」
あの彼と、真智が一緒にクリスマスを過ごす。
想像しただけで、胃が痛くなる。