恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「風景も撮るんですよね」
私は、写真館に飾られていた風景の写真を思い出す。
「そうですね。元々は、風景を撮るのが好きでした」
「日本の風景が好きなんですよね、慶次郎さんは」
「はい。日本の風景が好きです」
「だから、着物なんですか?」
ずっと気になっていたことを質問してみる。
慶次郎は、一瞬目を大きく開けて、その後、また目を細くして笑った。
「ははは。そうかもしれないですね。お客さんにもよく聞かれるんですよ。着物着てると写真撮り辛くないですか? ってね」
写真を撮る時に、着物の袖をまくりあげる仕草が、私的にツボなんだよね。
それ、言っちゃっていいかな?
どうかなぁ?
「実は、カメラの前で、着物の袖をまくりあげる慶次郎さんの仕草、すごく好きなんですよ」
好きなんです、と言ってしまった。
「え、本当ですか?」
言って良かったと心から思った。
慶次郎があまりにも嬉しそうな顔をするもんだから、もっと言いたくなる。
「和装で写真を撮るなんて、本当に素敵です。慶次郎さんしかできないと思います。カメラを構えた時の着物姿の慶次郎さんは、かっこよすぎますよ」
酔っているんだろうか、私は。