恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~


「真智さん、そんなに褒めると、僕も褒めちゃいますよ」

慶次郎は、あごを上げて、少し睨むような目つきで私を見た。

「真智さんは、褒めると照れる。その照れた顔がかわいすぎます」

褒められることに慣れていない私は、褒められるといつもどうしていいかわからなくなってしまう。
何度も会っていないのに慶次郎は私のそんな弱点を見抜いていた。


「褒めないでくださいね」

「い~や、褒めます。だって、褒めるところがたくさんありますからね」

いじわるぶった目つきで、私を見る。

その顔がとても、好きだと思った。


「でも、今日はこれ以上褒めるのやめときますね。明日、着物姿の真智さんをいじめますから」

「やめてください~!」

この不思議なラブラブな空気が、なんとも心地良かった。

合う。
そう感じちゃったんだよね。

「明日、楽しみだな」

少し酔ったのか、時々敬語じゃない言葉遣いになる。
そのたびにドキドキする。

「明日は一日かかりますけど大丈夫ですか?」

「はい! 休みなので」

ふたりきりで一日過ごせると思うと嬉しくて小躍りしちゃいそう。と思っていたら・・・・・・


「着付けの女性もお願いしときますんで」


残念なお知らせだった。


“私自分で着付けできます!”とでも言えればいいのに。

暇なOLなんだから着付けくらい習っておけば良かった。


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