恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
第2章
レンズの向こう
―レンズの向こう―
晴れ渡る空の下、私は野嶋写真館へと向かっていた。
深呼吸して、呼吸を整える。
今日は、また慶次郎に見つめられるんだ。
レンズ越しに見つめられるあの瞬間がたまらない。
「失礼します」
着付けの女性と聞いて、年配の人を想像していたんだけど。
「おはようございます」
着付けをしてくれる女性は、私よりも若く、私よりもチャーミングだった。
私にないものをたくさん持っているように感じちゃう。
「山野サトといいます。今日はよろしくお願いします」
サトさん。
かわいい名前。
ふわふわしたショートボブ。
ほのかな栗色の髪。
クリクリしたお目目で、ピンクのチークがよく似合う。
甘え上手な雰囲気で、ニコニコしていて、とにかくかわいい。
私を図形に例えるなら、きっと三角だけど、サトさんは丸。
顔型じゃなくて、心の形が・・・・・・
こんな女性がそばにいて、慶次郎の心は動かないのだろうか。
この写真館の着付けは全部彼女が担当していると言っていた。