恋愛写真館~和服のカメラマンに恋をした~
「さ、出来上がりましたよ!」
元気いっぱいの笑顔でそう言って、私の肩を叩いた。
私とサトさんはお互いがライバルであることを認識している。
「慶さん、呼んで来ますね」
腕は確かで、私はいつもの五割増くらい綺麗になった。
「慶さん、真智さん出来上がりです! 綺麗すぎて、倒れないでくださいね」
慶次郎の着物の袖をチョンと摘み、私の方へ案内する。
「僕が思った通りです」
腕組みをしながら、私を上から下へと眺める。
私は、緊張する体をほぐそうと深呼吸をするけれど、帯がきつくてうまく呼吸ができない。
見つめられすぎて、このまま倒れてしまうんじゃないかと思うくらい。
「本当に良く似合う。 綺麗です」
まっすぐに私を見つめる。
「僕が思った通り、その髪型もメイクもぴったりですよ。サト、ありがとう」
気まずそうに部屋の奥に立っていたサトさんは、慶次郎にお礼を言われて、頬を赤らめた。
慶次郎が好きだから、慶次郎に褒められたくて、頑張っているように見える。
切ないよ。
「それでは、私はこれで失礼します」
サトさんは、私に丁寧に頭を下げて、店を出た。
ふ、ふたりきり?
願ってもないチャンス。
と嬉しい気持ちの反面、サトさんの気持ちを考えると、胸が苦しくなる。